1/10/2010

忘却の整理学; 外山滋比古

一世風靡した「思考の整理学」の続編、とあります。今回は“忘れる”をテーマにした著書です。
多少、「思考の整理学」とかぶる所もあるのですが、読みやすく、非常に興味深い内容でした。
たくさんある中から、気に入った部分だけをピックアップします。

1. まず吐く。
呼吸といわれる様に、まず不必要なものを外に出さなければいけない、と書かれています。脳の働きも一緒で、まず忘れ、頭をすっきり整理してから、記憶しはじめると良い。
「よく学び、よく遊べ」も同じで、本当はよく遊び、よく学ぶ、のだそうです。

2. 忘れること
忘れることがマイナスイメージを持つようになるのは戦後の詰め込み教育のせい。そんなに頭にいろんな事を詰め込んだら、考えられなくなってしまう。現代人は、特に考えない。本を読むのは、先人の後をなぞるだけで、本当の役に立たない場合が多い。思考する事が大切。

3. 三上、三中
馬上、枕上、厠上がものを思考するのに最も良いのは知っていましたが、これに加え、入浴中、散歩中、夢中・集中が良いと書かれています。なるほど。

4. 思考の熟成
書いた文章や、うまくいかない思考などは一度寝かせるとよい、というのは「思考の整理学」にも書かれていましたが、その間に、余分な事を忘れて、結晶化された考えが残ります。これを元に、もう一度見直すのが良いそうです。文章の推敲も時間を置いてからやるように。
この、記憶の結晶化は、様々な場面で出てくるもので、「ふるさとは遠きにありて思うもの」という歌がありますが、これはふるさとの思い出が結晶化され、詳細が忘れ去られることによります。昔の中学校のグランドが狭く感じたりしますよね。

以上、忘れることは悪ではなく、新たな思考を生み出すのに必要不可欠。しかしながら、上手く忘れる必要があります。例えば、夜遅くに必要な事を頭に詰め込むよりも早朝にやった方が忘れずに済む、など。
早起きしたくなる一冊でした。



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